めまいと私の30年

60歳 女性 主婦 2013年6月3日

 

 

 

 めまいが始まったのは、30年くらい前、3番目の長男がウィルス性の冬季下痢になったときです。一週間、夜も下痢して、下痢するとおむつの間から下痢がみんな出てしまうので、シーツをかえて、身体の汚れをふいて、着替えをさせて。それを2週間くらい毎晩、続けてました。下痢してる本人はいたって元気なんですけどね。元気がないのは私。長女を小学校に、次女を幼稚園に送って、長男の世話。夫の仕事も手伝ってたしで、あのときはもうダメでした。身体が言うことをきかなくなっていきました。

 

 最初はめまいじゃなくて、耳鳴りだったと思います。ゴー、ゴーっていう音や、クーンっていう音が聞こえたり、いろんな音がしてました。耳が痛いこともあるし。めまいも同時に起こるようになって、耳鳴りは消えていったんですが、めまいはその後もずっと続きました。

 

 

 めまいは、人前に出て行かなきゃいけないときによく起こりました。当時は夫の仕事を手伝わなきゃいけなかったので、素で出るんじゃなくて、妻の立場として出なきゃいけない。よろいをつけなきゃいけないという気持ちがありました。それが重すぎたのかな、「もういやだー!」っていう思いが出てくるけど、「しなきゃいけない!」っていう気持ちがあって、それが圧力のようになって、なにか自分自身が喪失させられるような感じ。不安になって「いやだな・・・でも行かないと・・・」っていう、そういう中で、めまいが起きるんです。

 

 

 最初はふらつき程度でしたが、25年前くらいからふらつきと、ふわふわ感、そしてめまいになっていきました。1年に3回くらい激しいのが起こり、そうなるとまったく動けなくなるんです。それで、長女が高3の受験だった、15年くらい前からめまい止めの薬を飲み始めました。薬を飲むと、それ以上に激しくなることはなくなって、1週間くらい、ふわふわ感は残りながらも日常生活ができる、そんな感じ。飲まなければ、下手すると起き上がれなくなったりしてましたから。

 

 

 本当は一回2錠って言われてましたが、怖くて1錠だけとってました。めまいが起きたときや、めまいが起こりそうなときに、前もって飲むんです。街中に出るとか、人に会うとか、ストレスを感じるようなときに。外出先で動けなくなって、帰れなくなったら怖いので、常備薬のようになっていました。

 

 

 人からの勧めでホメオパシー治療を受け始めたのですが、それ以来、めまいは一度も起きていません。ふわふわ感は今もときどき出るので、そういうときにはホメオパスに連絡して、指示されたレメディーをとると、身体が落ち着きます。どんどんラクになっていってると思います。

 

 

 昔はほんとに、ふらふら、宙に浮いたような、地に足がついてないようなことが多かったんですけどね。無理してたんでしょうね。気持ちのほうが先行して、身体に「ついてこい!」って。「怠けるな、身体!」「これをしなきゃいけないんだ、ついてこいよ!」って感じでしたね。でも、心も本当はいやだったんでしょうね、理性がそうさせてたんだと思います。自分の身体以上のことをやっていた、そのことに、ホメオパシーを通して気づかされました。

 

 

 でも、自分の力以上にしなきゃいけないことって、人間あるでしょう? いやだーって思っても、しなきゃいけないこといっぱいありますから。どっちがいい生き方かはわかりませんよね。今は歳もとってきたし、そんなに責任はないと思いながらも、孫の面倒とか頼まれると責任感じてしまったり。あんまり周りが私に期待しなくなったら助かるんですけどね。

 

 

(聞き手:刀禰詩織)